半導体工場のクリーンルームに求められるクラス
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記事更新日 2026年03月16日
半導体製造において、微粒子の管理は品質に直結する重要な要素です。
クリーンルームは、その環境を維持するために不可欠な施設であり、適切な清浄度の選定が求められます。
このページでは、クリーンルームの基礎から規格の違い、導入・運用コスト、選定のポイントまで詳しく解説します。

クリーンルームは、空気中の微粒子や不純物を極限まで抑え、半導体製造に適した環境を提供する施設です。
ナノレベルの微細加工が求められる半導体製造では、わずかな微粒子の混入が製品の品質や歩留まりに大きな影響を与えるため、高い清浄度の維持が不可欠です。
特に、リソグラフィやエッチングなどの工程では、空気中の微粒子が回路形成を阻害する可能性があるため、適切な環境を整えることが求められます。
クリーンルームの清浄度は、ISOクラスやFED規格によって分類されており、半導体工場では一般的にクラス1〜100の環境が採用されています。
清浄度の選定は、微細加工の精度を向上させるだけでなく、高品質な製品の安定供給や生産効率の向上にもつながるため、各工程に適したレベルを確保することが重要です。

クリーンルームの清浄度は、空気中の微粒子の数に基づいてクラス分けされます。
ISO規格では、1立方メートルあたりの微粒子数を基準とし、クラス1から9まで分類されます。
クラス数が小さいほど清浄度が高く、半導体製造ではクラス3〜5の環境が求められます。
アメリカ連邦規格(FED規格)は、1立方フィート(約28.3リットル)あたりの粒径0.5μm以上の微粒子数で清浄度を分類する方式です。
| クラス/粒径 | 0.1μm | 0.2μm | 0.3μm | 0.5μm | 1.0μm | 5.0μm |
|---|---|---|---|---|---|---|
| クラス1 | 10 | - | - | - | - | - |
| クラス10 | 100 | 24 | 10 | - | - | - |
| クラス100 | 1,000 | 23,735 | 102 | 35 | - | - |
| クラス1,000 | 10,000 | 2,370 | 1,020 | 352 | 83 | - |
| クラス10,000 | 100,000 | 23,700 | 10,200 | 3,520 | 832 | - |
| クラス100,000 | 1,000,000 | 237,000 | 102,000 | 35,200 | 8,320 | 293 |
この規格は長年使用されてきましたが、現在ではISO規格へと移行が進んでいます。しかし、一部の業界では依然としてFED規格が使われるケースがあります。
ISO規格は、1立方メートルあたりの粒径0.1μm以上の微粒子数を基準に分類されます。
ISO規格は国際的に統一された基準であり、現在の半導体業界では主流となっています。
| クラス/粒径 | 0.1μm | 0.2μm | 0.3μm | 0.5μm | 1.0μm | 5.0μm |
|---|---|---|---|---|---|---|
| クラス1 | 10 | - | - | - | - | - |
| クラス2 | 100 | 24 | 10 | - | - | - |
| クラス3 | 1,000 | 23,735 | 102 | 35 | - | - |
| クラス4 | 10,000 | 2,370 | 1,020 | 352 | 83 | - |
| クラス5 | 100,000 | 23,700 | 10,200 | 3,520 | 832 | - |
| クラス6 | 1,000,000 | 237,000 | 102,000 | 35,200 | 8,320 | 293 |
| クラス7 | - | - | - | 352,000 | 83,200 | 2,930 |
| クラス8 | - | - | - | 3,520,000 | 832,000 | 29,300 |
| クラス9 | - | - | - | 35,200,000 | 8,320,000 | 293,000 |
ISO規格とFED規格は異なる基準で定められていますが、一般的に次のような対応関係が考えられます。
厳密には異なるため、使用する際には注意が必要です。
| ISO規格 | アメリカ連邦規格 |
|---|---|
| クラス3 | クラス1 |
| クラス4 | クラス10 |
| クラス5 | クラス100 |
| クラス6 | クラス1,000 |
| クラス7 | クラス10,000 |
| クラス8 | クラス100,000 |
半導体製造では、各工程ごとに最適なクリーンルームの清浄度レベルが異なります。
以下の表は、主な工程と推奨されるクリーンルームのクラスを示しています。
| 工程 | 推奨クラス | 特徴 |
|---|---|---|
| フォトリソグラフィ | クラス1〜10(ISOクラス3・4) | ナノレベルの微細なパターンを形成するため、最高レベルの清浄度が必要 |
| エッチング | クラス10〜100(ISOクラス4・5) | パターン転写工程のため、異物管理が重要 |
| 拡散・成膜 | クラス100〜1,000(ISOクラス5・6) | ウェハー全体に均一な膜を形成するため、適度な清浄度を維持 |
| 組み立て・検査 | クラス10,000〜100,000(ISOクラス7・8) | パッケージング後の工程のため、比較的緩やかな清浄度で対応可能 |
フォトリソグラフィ工程は、微細なパターンを形成するために最も高い清浄度が求められ、クラス1〜10(ISOクラス3・4)の環境が一般的に使用されます。
エッチング工程では、パターンを基板に転写する際に異物の影響を受けやすいため、クラス10〜100(ISOクラス4・5)のクリーンルームが適用されます。
拡散・成膜工程では、ウェハー全体に均一な膜を形成する必要があり、クラス100〜1,000(ISOクラス5・6)の清浄度が推奨されます。
組み立て・検査工程は、微細加工ほど厳しい清浄度は求められず、クラス10,000〜100,000(ISOクラス7・8)のクリーンルームが使用され、作業内容に応じた管理が行われます。

一方向流クリーンルームは、空気を一定方向(垂直または水平)に流し、微粒子を効率的に排出することで、高い清浄度を維持する方式です。
フォトリソグラフィ、成膜、エッチングなどのナノレベルの精密加工を行う工程に適しており、特に微細なパターン形成が求められる半導体製造では欠かせません。
ただし、この方式は空調設備のエネルギー消費が大きく、導入・運用コストが高いため、大規模な製造ライン向けに採用されるケースが多いです。
乱流式クリーンルーム(非一方向流方式)は、ISOクラス6〜8に対応しやすく、空気の流れが乱流になり、全体的に清浄度を確保する方式です。
部屋全体をクリーンにするものの、一方向流方式に比べて清浄度はやや低くなります。
半導体の組立や検査工程、パッケージング工程で多く用いられ、比較的低コストで運用可能なため、導入しやすいのが特徴です。
特に、半導体デバイスの最終検査や出荷前の品質管理の場面では、極端な清浄度は不要なため、乱流式クリーンルームが適用されることが多いです。
モジュール型クリーンルームは、ISOクラス3〜7に対応しやすく、必要なエリアのみクリーン化する設計が特徴です。
既存施設にも追加しやすく、小規模な生産ラインや試作ラインでの活用が増えています。
特に、新しい半導体製品のプロトタイプ製造や少量生産を行う場合、フルスケールのクリーンルームを導入するよりも、モジュール型の方がコスト面・柔軟性の面で適しています。
また、特定のプロセスでのみ高い清浄度を必要とする場合、局所的にクリーンな環境を確保できるため、省エネルギーで導入コストを抑えられるのも大きなメリットです。
近年、従来の密閉型クリーンルームに加え、新たな技術を活用したクリーンルームが登場しています。
オープンクリーン型クリーンルームは、密閉空間を必要とせず、ISOクラス1レベル相当の清浄度を特定の作業エリアのみで確保できるのが特徴です。
強力な気流制御により、微粒子を短時間で排除し、クリーンルームと同等の環境を実現します。
半導体のウェハ検査や精密機器の組み立てなど、作業者の動きが多い環境でも清浄度を維持しやすいメリットがあります。
従来の密閉型クリーンルームと比べ、省スペースで導入しやすく、必要な範囲だけを効率的に清浄化できるため、コスト削減と柔軟な運用が求められる現場に適しています。
エアカーテン式クリーンルームは、カーテン状の気流を利用し、特定のエリアや製造ラインのみを清浄化 する方式です。
ISOクラス5〜8の環境に適用可能で、省エネルギーでコストを抑えつつ、局所的な清浄度管理が可能です。
半導体製造の中でも、組立・検査工程や一部の加工ラインで微粒子の影響を抑えたい場合 に活用されます。
導入が容易で、既存設備の改修なしにクリーン環境を構築できるのが特徴です。
これらのクリーンルームは、作業者の出入りが頻繁な環境や、部分的な清浄度管理が求められる工程で特に有効です。
従来の「クリーンルーム=密閉空間」という概念を覆し、必要な場所だけを最適な清浄度に保つ新たな選択肢として、コスト削減や柔軟な運用を求める半導体業界で導入が進んでいます。

半導体製造は、日本の地域経済の活性化に大きく貢献する重要な産業です。しかし近年では、原材料価格の高騰や光熱費の増加、さらに円安の影響により、各企業の努力だけでは乗り越えられない厳しい状況が続いています。
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